──強さとは、火力ではなく“生き様”だ。
狩猟文学という視点
数字で語る狩りに、俺はずっと違和感を抱いていた。
DPS、TA、最適解──それらは確かに大切だ。
だが、画面の向こうで息づく“命のやりとり”を、
本当に数値で測れるだろうか。
初めて仲間と討伐に成功した夜。
手が震えて、何度もコントローラーを握り直した。
倒した喜びよりも、そこに至るまでの“恐怖”と“意志”が、
俺の胸を熱くしたのを今でも覚えている。
「モンスターの体力は数値化できる。
だが、ハンターの魂はそうはいかない。」
モンスターハンターという作品の本質は、
効率でも攻略でもない。
それは“恐怖を超える意志”そのものだ。
だからこそ、俺は“狩猟文学”という言葉を選んだ。
そこには、単なる戦闘記録ではなく、
狩りという営みの中に宿る哲学・美・絆を描きたいという願いがある。
この「モンスター解体新書」では、
一体一体のモンスターを“データ”ではなく、“存在”として見つめる。
彼らの行動の裏にある意志、恐怖の構造、
そして、それに挑む俺たちハンターの“生き方”を記す。
──ここから始まるのは、戦いの記録ではなく、
“美しさを追い求めた軌跡”だ。
火力でも最速でもなく、“心が震えた瞬間”を。
このシリーズは、そんな狩りの原風景を綴るためのものだ。

終章:狩猟とは、“美を創る行為”だ
俺にとって、狩りとは数字でも効率でもない。
それは“命を描く行為”だ。
一振りの刃に宿る覚悟、一瞬の回避に込めた祈り──
そのすべてが、画面の向こうの“生”を形づくっている。
仲間の叫び、砕ける音、焦げた大地の匂い。
あの瞬間、俺たちはただ戦っていたんじゃない。
「生きていた」のだ。
恐怖の中で、希望を掴むように。
絶望の中で、まだ美しい何かを信じながら。
モンスターは敵じゃない。
彼らは“世界の理”を映す鏡であり、
俺たちハンターは、その鏡の前で“人の意味”を探している。
だからこそ、この記録は単なる攻略ではなく、
「生き様の記譜」なのだ。
美しさは、恐怖の中にある。
勝利は、挑み続けた者の中にある。
そして、狩猟とはその二つを結びつける“祈り”だ。
「さあ、もう一狩り行こう。
世界は、まだ美しく燃えている。」
──この言葉を残して、焔の向こうへ。
新しい狩りが、また始まる。


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