その夜、キャンプに戻った瞬間。
支給品ボックスを開く手が、いつもより少しだけ重かった。
失敗したわけじゃない。
何も考えずに突っ込んだわけでもない。
それでも、胸の奥に残るのは、
「また同じところで詰まっている」という感覚だった。
「……またか」
動画は見た。
装備も整えた。
立ち回りも、頭では分かっているつもりだった。
それなのに──
上手くなっている実感だけが、どこにもない。
こういう感覚は、たいてい静かにやってくる。
派手に乙るわけでもない。
目に見えて下手になったわけでもない。
ただ、確実に分かることがある。
「俺、ちゃんとやってるのに、
どこにも辿り着いていない気がする」
実はこの感覚、
何もしていない人より、考えて狩ってきた人ほど強く感じやすい。
なぜなら、
それは狩りを“振り返る視点”を手に入れた証拠だからだ。
今日は、そんな話をしたい。
攻略の話でも、最強装備の話でもない。
「努力しているのに上達しない」と感じてしまう瞬間に、
ハンターの中で何が起きているのか。
これは、俺自身が何度も立ち止まり、
何度も同じ疑問を抱えてきた末に辿り着いた、
“伸び悩みの正体”についての記録だ。
「上達しない」と感じる瞬間は、実は“成長期”に多い

最初に、これだけははっきりさせておきたい。
「上達していない気がする」=「下手なまま」ではない。
それは、ほとんどの場合で勘違いだ。
むしろこの感覚は、
狩りが“感覚任せ”の段階を抜け始めた合図でもある。
例えば、こんな変化に心当たりはないだろうか。
- 被弾した瞬間よりも、「なぜ当たったか」が気になるようになった
- 乙ったあと、操作よりも「判断」を振り返るようになった
- 「今の距離、まずかったな」と、遅れて理由を考えるようになった
これらは全部、
一段階上の視点に立ち始めた証拠だ。
狩りの序盤は、正直楽だ。
分からないことが多い分、悩む余地も少ない。
成長初期は、「分からないことが分からない」。
だから、狩りは気持ちいい。
だが、中級手前に差しかかると、
“分からないことが、はっきり見えてしまう”。
被弾の理由が分かりかける。
危ない距離が、なんとなく察せてしまう。
だからこそ、こう思ってしまう。
「俺、才能ないのかもしれない」
でも、それは違う。
ただ、視界が一気に広がっただけだ。
視界が広がると、当然しんどくなる。
それまで見えていなかった“失敗の理由”が、全部見えるからだ。
だが、この段階を越えない限り、
狩りはいつまでも「運が悪かった」で終わってしまう。
上達とは、
ミスが減ることじゃない。
ミスの理由を、自分の言葉で説明できるようになることだ。

努力してるのに伸びない人の共通点①: 「正解ムーブ」を探しすぎている
多くのハンターが、ここで足を止める。
それも、真面目な人ほど。
俺自身、何度も同じ場所で立ち止まった。
「ちゃんと調べているのに」「学んでいるはずなのに」
そう思えば思うほど、狩りが窮屈になっていった。
その理由は、だいたいこれだ。
- このモンスターには、この立ち回りが正解
- この武器なら、このコンボを入れるべき
- この状況では、これが最適解
……全部、間違いじゃない。
どれも、ちゃんとした知識だ。
でもな、
狩りの最中に「正解は何だ?」と探し始めた瞬間、判断は必ず遅れる。
上手い人は、「正解を完璧に実行している」わけじゃない。
ただ、間違いを一つずつ減らしているだけだ。
- 欲張りそうなところで、踏みとどまる
- 通るか怪しい差し込みを、あえて捨てる
- 危ない時間帯を、体で覚えて近づかない
ここで大事なのは、
「何をするか」よりも「何をしないか」だ。
狩りは、常に最適解を出すゲームじゃない。
致命的なミスを、どれだけ減らせるかのゲームだ。
正解ムーブを探しているうちは、
どうしても攻めが前に出る。
そして、被弾する。
だが、
「これは危ないな」「今はやらないな」
そうやって一つ踏みとどまれるようになると──
被弾は、驚くほど静かに減っていく。

共通点②:被弾を「反射神経のせい」にしている
これは、伸び悩むハンターの心を一番静かに削る思い込みだ。
被弾したあと、
画面が暗転するより先に、
こんな言葉が頭をよぎっていないだろうか。
「自分は反応が遅い」
「フレーム回避ができない」
「もう若くないから仕方ない」
……これ、全部、俺も何度も思ったことがある。
だからこそ、はっきり言う。
被弾の原因の9割は、反射神経じゃない。
これは気休めでも、精神論でもない。
狩りを振り返れば、理由は驚くほど単純だ。
多くの被弾は、
「見てから避けているつもりで、実は何も見ていない」。
- 攻撃後の隙を、なんとなくで処理している
- 次に来る行動を、予測しないまま殴り続けている
- 安全な位置を決めず、「その場で避けよう」としている
この状態では、
どんなに反応が速くても、間に合わない。
なぜなら、
危険な場所に居続けたまま、回避に賭けているからだ。
言い換えるなら──
被弾は、「避けられなかった結果」じゃない。
そこに立ち続けると決めた結果だ。
だから、反射神経を責める必要はない。
足りないのは速度じゃない。
狩りを“予測のゲーム”として見る視点だ。
この視点を持った瞬間、
被弾は「才能の差」じゃなく、
判断の積み重ねに変わる。
この話は、次の記事でさらに深く掘る。
👉 被弾が多いのは反射神経のせいじゃない
(※公開後にリンク差し替え)

共通点③:上達を“数字”で測ろうとしている
伸び悩んでいるハンターほど、
無意識に「数字」を見てしまう。
俺もそうだった。
クエストが終わるたび、
まず確認するのは結果画面だった。
- 討伐時間
- 与ダメージ
- DPS
- TA記録
もちろん、これらは大事な指標だ。
嘘はつかないし、成長すれば確実に変わる。
でもな、
成長の途中でこればかりを見ていると、心のほうが先に折れる。
なぜなら、数字はこう言ってくるからだ。
「前と変わっていない」
「むしろ遅くなっている」
だが、その数字は、
今の君が積み上げている途中のものを映してはいない。
本当に見るべき成長は、
リザルト画面には出てこない。
本当に見るべきは、ここだ。
- さっきまで見えなかった危険に、気づけたか
- 乙る前に、「これはまずい」と感じられたか
- 欲張りそうな自分を、ほんの一瞬でも止められたか
これらはすべて、
数値にはならないが、確実に前進している証拠だ。
そして、ここが一番大事なところだ。
討伐時間が縮むのは、
ダメージが増えるのは、
TAが更新されるのは──
こうした“見えない成長”が、十分に積み重なったあとだ。
数字を追いかけるのをやめた瞬間、
狩りは不思議と安定し始める。
そして気づいた頃には、
数字のほうが、後からついてくる。

上達しないと感じたとき、やってほしいこと
上達しないと感じた瞬間、
つい次の行動に走ってしまう。
装備を変える。
スキルを見直す。
動画を探す。解説を漁る。
それ自体は、悪くない。
だがその前に、一度だけ立ち止まってほしい。
俺自身、何度も遠回りをしてきたから分かる。
上達を止めている原因は、
装備や知識じゃなく、視線の向きであることが多い。
だから、次の狩りに出る前に、
一度こう問いかけてみてくれ。
「俺は今、何を“見よう”として狩っている?」
少し、振り返ってみてほしい。
- 体力バーだけを追いかけていないか
- 攻撃チャンスだけに意識を奪われていないか
- 上手くいった場面だけを、切り取って真似していないか
これらは全部、
狩りが苦しくなり始めたときに、自然と起きる変化だ。
だが、狩りの上達は──
「どれだけ攻撃したか」ではなく、
「どれだけ多くの情報に気づけたか」で決まる。
攻撃前のモンスターの溜め。
危険な距離感。
欲張りそうになる自分の癖。
それらに一つでも気づけたなら、
それは確実な前進だ。
狩りは、
“気づける情報量”が増えた人から、静かに上手くなる。
そして、その問いを立てられた時点で──
もう君は、「下手なまま」の場所には立っていない。
ちゃんと、次の段階に足を踏み入れている。

次に読むなら、ここだ
もし今、
「これ、俺のことかもしれない」
そんな感覚が、胸のどこかに残っているなら──
それは、もう十分な手応えだ。
理解できたからじゃない。
自分の狩りを、ちゃんと見ようとし始めたからだ。
次は、この順で読んでほしい。
どれも答えを与える記事じゃない。
視点を一段ずつ、深くしていくための記事だ。
-
👉 モンハンで下手なままの人の共通点
──ちゃんとやっているのに伸びない。
その違和感の正体を、「努力の向き」という視点から解き明かす。
-
👉 被弾が多いのは反射神経のせいじゃない
──「見えてたのに当たる」理由。
被弾を反応速度ではなく、判断と立ち位置の問題として捉え直す。
-
👉 立ち回りが分からない人ほど正解を探す
──攻略を真似しても噛み合わない理由。
型を捨て、「考える軸」で狩りを再現するための思考整理。
この記事は、
「自分を責めるのをやめるための入口」にすぎない。
狩りは、才能を証明する場所じゃない。
他人と比べて、優劣を決める場でもない。
狩りとは──
生き残ろうとする意志が、少しずつ形になっていく場所だ。
今日はそれだけ、覚えて帰ってくれ。
次は、もう一段深いところへ行こう。

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